n037 『凱旋門賞』
「フランスでは、19世紀半ばに3歳馬のための国際的なクラシック競走としてパリ大賞が創設され、国外からも一流馬を集めて成功していた。これにならって古馬のための大競走が企画され、第一次世界大戦終戦直後の1920年に創設された。これが凱旋門賞である。しかし初めの30年間は国外(特に競馬先進国のイギリス)からの一流馬の参戦はなく創設の目的を果たせなかった。1949年に大幅な賞金増によって世界一の高額賞金競走となると徐々に注目を集めるようになり、1965年には世界中から集まった一流馬を相手に圧勝したシーバードが世界史上最強馬と認定されるに及んだ。その後もミルリーフと言った名競走馬が一流馬を相手に勝つことで、凱旋門賞の国際的な名声はますます高まった。1986年にはイギリス、フランス、西ドイツ、アイルランドや日本、南米からもクラシックホースが集まり、これらを相手にレコード勝ちしたダンシングブレーヴは世界最高の名馬となった。凱旋門賞の成功にあやかって、世界各地に国際的な大競走が創設された。これらの多くは極めて高い賞金を出して凱旋門賞の上位馬を呼び寄せることで権威を高めようとした。1990年代には、いくつかの競走は凱旋門賞を超える賞金を出すようになった。一方、凱旋門賞は世界最高賞金の座を奪還するためにスポンサーと契約し更なる賞金の積み増しを行なっている。(Wikipedia 20141004)」 n024、n025で取り上げた、ゴールドシップ(牡5)と横山典弘のコンビが、本日深夜発走の凱旋門賞に出走する。今年は日本から他に、ハープスター(牝3)、ジャスタウェイ(牡5)も出走し、強敵相手ながら、日本初の、というより欧州馬以外での初の勝利を目指す。この馬の血統を見ると凱旋門賞制覇を夢見た偉大なホースマン達が多く関わった事が改めて良くわかる。和田共弘氏、北野豊吉氏、吉田善哉氏、それぞれのシンボリ、メジロ、杜台でG1勝ちした騎手であり、凱旋門賞に挑戦したメジロムサシを天皇賞勝ちに導いたのが横山典弘の父(n025でも取り上げた)横山富雄。この縁を引き継ぎ、46歳で初めてロンシャンを経験する横山典弘が、この馬で日本競馬関係者の悲願を達成するとしたら・・・。
No.109(2002.07.08)『集合住宅の課題』
いくつかの大学で、集合住宅の設計演習の課題を担当させていただいているが、僕自身の中では「住居集合のデザインを考える」という気持ちが大きい。規模の大きい複数の住宅がひとつの建築物に入っているという考えを、何とか解体したい。建築が街になっていく過程で、都市型の住宅、なかでも共同住宅の占める位置はきわめて大きい。わが国では、特に現代では、小規模の集合住宅が建ち並んで街をつくっていくという感覚が希薄で、個人の住宅の次には、大規模なマンションのような形態に行ってしまう。長屋が良好なまちをつくっていた時代もあったが、良好なアパートというか、適正な規模の住居集合体としての建築が、建ち並んで街をつくっていくという感覚が欲しい。そのアパート自身も、内外の空間を生活の中で感じられるような空間の複層性が欲しい。屋外空間も含めて、共同体としての喜びの感じられる街の復活の道を探ろう。
No.110(2002.07.18)『中京-1』
先週も金曜三重大、土曜東京都市環境デザイン会議JUDI総会、月曜まちづくり法制研究会、火曜JUDI関西セミナー、昨日水曜某委員会のゲストと、いろいろ考えを整理する機会が多かった。さて、先日の愛知フォーラムの報告文から、「最近の仕事の特徴として、震災復興や団地の再生のように、住み続けてきた人達の住まいや場所の更新を、低層密集型の居住形態の提案で実現している例が結構ある。今回紹介する事例も京都の中心部で低層町家が多く残る職住混在のエリアで、隣接する南側の敷地には既に中層のマンションが建っている。計画地では400%11階建ての分譲マンション建設反対運動を機に結成された周辺住民によるまちづくりの会が参加した地域共生土地利用検討会がつくられ、繰り返し議論がなされた。当初は集客施設等も検討されたが、最終的にはこの場所にふさわしい地域共生型の賃貸集合住宅ということになり、計画設計を」続く
No.111(2002.07.22)『中京-2』
「(続き)参画を依頼された。小スケールで分節された3~8層、地域共生空間を有する計画。2002年8月末完成予定。構造的には、通風・採光に優れた奥行きの薄いワイドフロンテージタイプをラジエーター状に列べ、フルサッシュを採用。接近感の解消、プライバシーの保護は、サッシュの中間部(アイレベル)に半透明のガラスを採用。周辺のまちなみを形成する建物のボリュームに併せたボリューム単位。道路と低層住宅隣地側の高さを抑え(3~4層)、すき間を内部構造化して環境の自立化を図る。すき間を利用して設備配管は露出したスケルトン・インフィル構造。前面通りには4階のスケールの建物。プライバシーを保護しながら、人が住んでいる気配を如何に感じられるものにするか。一緒に住んでいる人が見えることは、セキュリティの面でも重要。・・・特色ある生活環境の創出も都心居住の魅力。」赤レンガの内壁もある賃貸。