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n046 『村上和弘君』

「和弘くん、真由子さん、並びにご両家の皆様、誠におめでとうございます。ご両家のみなさまに、学生時代の和弘君の様子をお伝えして、お祝いの言葉とさせていただきたいと存じます。私は建築の設計をしておりますが、二〇〇四年から大学に教員として参りまして、新郎の和弘くんは二〇一〇年の四年生(関西では四回生と言いますが)、私の研究室の七期生になります。和弘くんは大学院にも進みましたので、三年間、いろいろと活動を共にした仲間です。私は、建築単体というよりは、群になってある集落や人々が集まって住む環境に関心があり、そのような設計に携わっておりますので、和弘君もそういった環境に関心があって私の研究室に来たのだと思います。和弘君は、四回生と大学院の時に、カンボジアのカンポンプロックという村に行っています。この村は、トンレサップ湖という大きな湖にありまして、湖は雨が降った時のメコン川の水量を調整する機能を持っていて、水量が大きく変化します。最大の時で琵琶湖の一〇倍、最小の時でも三倍という大きな湖なのですが、カンポンプロック村はちょうどその水量の変化する中間の部分にあります。つまり、雨季の後の秋頃は水上集落になり、春の水のない時期には、高床式の住宅が空中にそびえたつという集落です。この村では、和弘君の先輩たちが実測調査をして図面にするという作業をしていますが、なんといってもこの美しく素朴な村の空間を体験することが一番で、彼も長く滞在していろいろなことを体験し、感じ取ったことだと思います。大学院の一年生の時には、文科省の補助を受けて進めている研究に関連して、ヨーロッパの大規模な集合住宅団地の調査にも出かけました。また、国内でも、兵庫県の日本海と瀬戸内海のちょうど真ん中にある中山間地域、丹波市の青垣町佐治や成松といった集落で、地域再生に関する活動を行っています。そんな中、和弘君にとって将来を決める契機となったできごとが、四年生の時でした。関西大学の千里山キャンパスは、緑の多い風致地区に指定されており、周囲は住宅地で囲まれています。この大学キャンパスの将来計画に関して、大学側から依頼を受けまして、まずは現況の調査をしようということで、和弘君たちと半年ほどキャンパス内を調査し、また、他大学の計画なども調べました。キャンパスに関しては、大学が抱えている問題が他にもたくさんありましたので、私は、個別の回答というよりは、この際、大学内にキャンパスの全体を横断的に解決できる組織の設置が必要であると進言いたしまして、一年半後の昨年四月に、大学内にキャンパスデザイン室が設置されました。その時の経験で、和弘君は、この風致地区にあるキャンパスの計画に携わりたいと思ったのでしょう、キャンパスデザイン室が出来たのならば、そこに就職したいという希望を持ち、難関をくぐり抜け、母校の職員として、しかもキャンパスデザインに関わる部署の職員として、今日の日を迎えています。和弘君は修士論文に関しても、大学と周辺住宅地との環境関係の改善に対する提案を題材としてまとめ、具体の計画につなげようとしています。私の研究室では、一期生から代々、キャプテン制度がございまして、修士一年の学生の中から、学生同士でキャプテンを選び、彼を中心に協働で研究室活動を継続しています。和弘君は、研究室の七代目のキャプテンで、九人の修士一年生の中から選ばれ、研究室を支えてくれました。和弘君は、“カズ”と呼ばれていましたが、ぐいぐいと人を引っ張っていくようなタイプのキャプテンではなく、いつのまにか皆が協働していくといった感じでしょうか、そんなこともあり、母校での和弘君の活躍には大きく期待しています。真由子さんの母校でもありますね。お二人が日々の生活の中で協力しあった結果として、大学のキャンパスが吹田の住宅地と一体となり、美しいキャンパスに熟成していくこと、また、そう言ったことを通してお二人の人生が豊かになっていくことを期待して、お祝いの言葉とさせていただきます。本日はおめでとうございます。2013年5月6日」 2015年2月10日朝、1月30日夜に脳内出血で倒れ緊急入院した“カズ”が意識戻らぬまま亡くなってしまった。一昨年、就職とともに結婚し子供も生まれたばかり。こんなにつらいことはない。合掌

No.136(2003.01.14)『たたずまいの創造』

「広島という都市が、何もないところから再生するのを見てきた。海や川や山とかかわる多自然都市の条件が広島の風景を支えており、再生した街そのものは、意味もなく雑然としている。それに失望して、再生の経過の中でつくられた新しい「街のたたずまい」を探しまわる。そのような中で、この鈴ヶ峰団地は、人が住み、生きるための「街のたたずまい」を感じさせる数少ない場所である。瀬戸内に広がる風光を最大限に取り込んで、接地性と戸建て感に配慮した、典型的な低層集合住宅は、20年の月日を経て風景の中に深く根を下ろしている。商業的マンション群の林立するなかで・・・。」建築ジャーナル1月号は、「地域主義の形-本当に良い建築とは何か」という特集を組んでいる。西日本で錦織氏が選んだのは、村野藤吾の世界平和記念聖堂。もうひとつのおすすめとして、現代計画研究所設計の住宅公団の団地。東京時代の仕事だ。

No.137(2003.01.20)『住んでみたい人気の町』

週間現代1/25日号の特別企画。予算に制約をもうけない東京の理想編ベスト3は、神楽坂5丁目(営団東西線神楽坂駅)、広尾5丁目(営団日比谷線広尾駅)、小日向4丁目(営団丸の内線茗荷谷駅)と、アクセスの便利さと住宅地としての環境の良さが兼ね備わった閑静な住宅街。一方、実生活をふまえた現実編は、小山台1丁目(東急目黒線武蔵小山駅)、本駒込5丁目(JR山手線駒込駅)、中野2丁目(JR中央線中野駅)と、アクセスの良さに便利で気安い商店街、下町っぽい雰囲気が好まれている。一般に、「住みたい町」を選ぶ判断基準は、交通の便、自然環境、教育環境、生活の利便性だそうだが、ここ数年、大幅な地価下落が発端となって、生活の場が一気に都心に向き始めているようだ。関西編は、区別がなくて、芦屋市山手町(阪急神戸線芦屋川駅)、帝塚山中1丁目(南海高野線帝塚山駅)、岡本2丁目(阪急神戸線岡本駅)だ。

No.138(2003.01.27)『過去のない男』

「2002年カンヌ映画祭でグランプリを受賞したフィンランドの作品。舞台はヘルシンキ郊外の寂れた街である。暴漢に襲われ記憶を失った男がその街にたどりつき、ささやかながらも新しい生活をはじめ・・・といった物語だ。画面はひたすら暗く、物語も凍てついていて、それゆえに心の中にじわっとくる、上質の映画だった。・・・列車内の食堂で、男はなんと、寿司を食べおちょこで酒を飲んでいた。やりきれない表情で、たどたどしく箸を使い、握りを口に運ぶ。・・・流れているのは日本語の歌だ。演歌というより、ムード歌謡って感じの雰囲気である。エレキとかエレジーという単語が良く似合いそうな。・・・なんでも、監督のアキ・カウリスマキが小津安二郎のファンであり大の親日家で、クレイジーケンバンド起用となったらしい。で、曲名は『ハワイの夜』である。」甘糟りり子。NO.118で書いたカフェの奥でみた映画。

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