n034 『ルワンダ事情(4)』
「アフリカンブラッドレアメタル―94年ルワンダ虐殺から現在へと続く『虐殺の道』大津司郎」は2010年の本。最近、新しい本が出た。「アフリカ・奇跡の国ルワンダの『今』からの新たな可能性 ~ジェノサイドから20年を経て~ [Kindle版]牧浦土雅 (著) 出版社:Digital Book Storage Inc (2013/12/1 )販売:Amazon Services International,Inc. 」この本がKindle端末上で無料で読める。「アフリカ、「ルワンダ」と言われて何を思い浮かべるだろうか。1994年4月6日、ルワンダ大虐殺。東アフリカの小国ルワンダで、わずか100日間で約80万人以上もの人々が虐殺された。私がルワンダについて話をする時、殆どの人はこの惨事のことしか知らない。それから20年。ルワンダは「奇跡の国」と呼ばれるほどの急激な発展を遂げた。あの大虐殺(ジェノサイド)は絶対に風化させてはならない事実だが、ルワンダの現状を見ると、わずか20年前この地で本当にジェノサイドが起きたことは到底信じがたいだろう。最近、最後のフロンティアと呼ばれるアフリカ大陸への注目が日に日に高まっている。2013年6月に第5回アフリカ開発会議 (TICAD V)が横浜で開催され、「支援から投資へ」というスローガンが掲げられ、各国の首脳陣たちも出席した。その一方で、今年1月の、北アフリカ・アルジェリア人質拘束事件では、日本の現地駐在人10名が犠牲となり、改めてアフリカの治安についての懸念が高まった。アフリカでもビジネスを展開してきた私としては日本人が過剰に反応していると感じているが、未だに「アフリカ=危険/紛争/貧困」という固定概念は、日本人の間で残念ながら未だに強く根付いていることは事実である。アフリカ54ヶ国の多くは依然として大きな貧困層を抱え、先進国から巨額の援助を受け、紛争も絶えない。しかし、ルワンダは同じアフリカでありがながら、上記のアフリカのネガティブな状況とは明らかに違う状況にある。人口の20%がわずか3ヶ月の間に殺されたというジェノサイドの悲劇から20年、近年のGDP成長率は年率8%を超え、治安も安定しており、夜中に町中を歩いても問題ないと言われている。悲しいことに、インターネットでルワンダに関する本を探していると、ほとんどが虐殺関係となっており、「今のルワンダ」に特化して書かれた本は見当たらない。だから、私が実際にルワンダに足を踏み入れ、現地の人と様々なプロジェクトを行なった経験に基づき、ルワンダの現状について今回、ここに書き留めておきたいと思う。人類最後のフロンティアともいうべきアフリカ大陸。悲劇を乗り越えて新興国家として着実に発展するルワンダを今を現地で活躍する日本人が伝えます。牧浦土雅(マキウラドガ) 1993年東京都生まれ。英国ボーディングスクール卒業後、ギャップイヤーを取得し、現在英国ブリストル大学在学中。東南アジアの社会企業投資に特化したNeeds-One Ltd.:共同創業者。インドのスラム街に住む40万人に貧困サイクルを抜け出す様々なサービスを提供するNGO「Asha Society」:アンバサダー。DVD教材を利用して途上国の教育格差の解消を図る国際教育支援NPO「e-Educationプロジェクト」:ルワンダ代表」
No.100(2002.05.09)『ベーニッシュ』
5月3日からのGWを利用して、ライネフェルデ、ワイマール、イエナに行って来た。旧東ドイツの無機質なパネル工法団地の再生のプロジェクトをこの眼で確かめるためだ。後2者に比べ、人口16,000人の地方都市であるライネフェルデは、人口流失問題が町の存続に関わるだけあって、単なる団地再生を越え、街の再生事業になっていて、特に近年の再生プロジェクトは建築の質も高く、断然のインパクトであった。この話は別の機会に詳しくするとして、帰りに寄ったフランクフルトのコミュニケーション・ミュージアム(淵上正幸さんの「ヨーロッパ建築案内」にはドイツ郵便博物館として紹介されている。)は、ギュンター・ベーニッシュの建物を見に行ったのだが、展示もなかなかにおもしろいものだった。9時開館で無料。陽当たりの良い変化に富んだ空間は、特徴ある外観以上に軽やかで、子供たちにも気軽に楽しめそうな雰囲気で◎。
No.101(2002.05.14)『対話と協働のデザイン』
先週末は、東京近辺(国立、多摩NT等)の公団賃貸住宅の空き家見学。住民が自主管理をしない(できない?)で管理会社任せのせいだろう、特に共用部分が愛着感のない環境になっている。空き家問題の根本はここにあり。今年度の都市計画学会賞の詳細が新聞に載っているとの連絡。学会賞(石川賞)は延藤安弘千葉大教授と大西國太郎氏、学会賞(論文賞)は下村郁夫政策研究大学院大学教授、学会賞(計画設計賞)は既報 (NO.99)の通り、和歌山県御坊市島団地再生事業、(計画設計奨励賞)が「晴海トリトンスクエアにおける・・」その他功績賞(大久保昌一大阪大学名誉教授他)、国際交流賞(丹下健三東京大学名誉教授他)となっている。石川賞の延藤さんは、著書「『まち育て』を育む-対話と協働のデザイン」の中で、まちづくりの実態が市民参加と無縁のモノづくりになりつつあることを批判し・・・。時代の変化を象徴しているか。
No.102(2002.05.20)『総合設計制度の一部一般化への反対表明HP』
東京大学工学部都市工学科の大方・小泉研究室のHPに表記の公開意見。「建築基準法の改正案が国会に上程されている。・・・このうち特に問題が大きいのは、都市計画として決定されるものでもなく、特定行政庁による許可によるものでもなく、単に政令で定める基準を満たす建築について規制を大幅に緩和しようとする「4)第1種住居地域等における住宅容積率の緩和」および「5)斜線制限と同等以上の採光を確保する建築物に対する斜線制限の撤廃」である。これらは、これまで特定行政庁の許可によって行われてきた総合設計制度による各種形態制限の緩和を、政令で定める一律基準の下で建築確認手続きのみによって可能にしようとする制度改正である。・・・総合設計制度とは、個別案件毎に周囲の状況に照らして精査した上で許可されるべきものなのである。・・・むしろ市街地環境の破壊につながるものである。」HP必読。必考の要。